Personal NotesWORK / 2026-10-18

バラバラだった職歴が、AIでつながり始めた

マーケティング、UX、EC、システム、ペットの仕事、管理職。振り返ると、私はずいぶん違う種類の仕事をしてきた。

それぞれの現場で必要なことを覚えてきたけれど、ひとことで「何の専門家ですか」と聞かれると、少し困る。経歴を並べることはできても、それらを一本につなぐ説明は簡単ではなかった。

最近、AIで自分の作りたい仕組みを動かすようになって、その経験が同じ場所で使われる感覚がある。別々の仕事をしていたつもりが、今になって一つの作業につながってきた。

複数領域の経験を目的に合わせて組み合わせ、実装と検証につなぐ。
複数領域の経験を目的に合わせて組み合わせ、実装と検証につなぐ。

Section 01 — 頭では分かるのに、形にできない

業務の中には、入力と欲しい結果が見えているものがある。元のデータはここにあり、この条件で整理して、最後はこの形で確認したい。手順の大筋は説明できる。

それでも、動く道具にするには別の知識が必要だった。ファイルをどう読み、どう加工し、どこへ保存するか。画面をどう作り、間違った入力をどう扱うか。頭の中の手順を、そのまま実行できるわけではない。

AIに実装を手伝ってもらうようになって、この間の距離が短くなった。自分が説明した業務の流れを、実際に触れるものへ変えやすくなったのだ。

Section 02 — 画面一つにも、いくつもの仕事が入っている

例えば、ECの分析画面を作りたい時。数字を集計できれば、それで完成とはならない。

売上を何と比べるのか。どの期間で見るのか。商品別に分ける意味は何か。その数字を見た人に、次に何を判断してほしいのか。ここには、マーケティングや運用の経験が必要になる。

さらに、どの順で見せれば迷わないか、何を目立たせるか、細かい情報をどこまで出すか。これはUXの話だ。データの形が変わった時にどう扱うか、どこまで自動化するかは、システムや業務設計の話になる。

一つの画面の中に、昔の別々の仕事が同居している。AIがコードを書く間にも、人間側ではいろいろな経験を使っていることに気づいた。

Section 03 — 実装を任せるほど、目的を説明する必要がある

AIに任せられる部分が増えると、自分は何もしなくていいようにも見える。実際、手を動かす時間が大きく減る場面はある。

ただ、何を作るかが曖昧なままだと、立派に見えるけれど使わないものもできる。項目は多い。グラフもある。でも、今日の判断に必要な数字が見つからない。そうなると、作る速さだけでは意味がない。

私は、目の前の人が何に困っているのか、何が見えたら次に進めるのかを説明したい。その時に役立つのは、ツールの知識だけではなく、実務で困った経験や、人に仕事を渡してきた経験だった。

分析画面を、指標・UX・処理・運用の四つの視点で組み立てる。
分析画面を、指標・UX・処理・運用の四つの視点で組み立てる。

Section 04 — 基礎を知ると、頼める仕事が変わる

だからといって、技術の理解がいらなくなったとは感じていない。むしろ、仕組みが少し分かるだけで、AIへの頼み方が変わる。

自分のパソコンで動かすのか、外へ公開するのか。保存する情報に何が含まれるのか。変更を戻せる状態にしておくにはどうするか。細かい文法を覚えていなくても、この違いは分かっていたい。

私も最初からGitや実行環境を理解していたわけではない。作りたいものにぶつかり、その都度AIに説明してもらいながら覚えてきた。単語が分かると、次に何を試せるかが見える。試すと、また分からないところが出てくる。

この学び方だと、技術が暗記科目になりにくい。自分のやりたいことにつながるから、理解する理由がある。

Section 05 — 管理職の経験も、別の形で使っていた

意外だったのは、仕事の任せ方までつながってきたことだ。

目的を伝える。担当範囲を分ける。途中の状態を確認する。完成したと言われたら、実物を見る。詰まっていれば、どこで止まっているかを切り分ける。

AIと人間は同じではない。それでも、仕事を依頼し、受け取り、次へつなぐために何を明確にするかという点では、過去のマネジメント経験を思い出す場面がある。

部下を持っていた時の経験が、まさか自宅でAIを使う時にまでつながるとは思っていなかった。職歴の中で別の棚に入れていたものを、同時に取り出している感覚だ。

Section 06 — 広いだけでは、つながらない

ただ、幅広く経験していれば自動的に強くなる、と言いたいわけではない。知らない分野はあるし、専門家に確認したほうがいいこともある。

大事なのは、今の目的に対してどの経験を使うかだと思う。マーケの話だからマーケの知識だけを使うのではなく、実際の問題が入力の手間なら業務設計へ、見方の分かりにくさならUXへ戻る。自分の得意な話に引き寄せすぎないことも必要になる。

一つひとつの分野で誰よりも詳しい、という自信とは少し違う。別々の領域の間で、何を受け渡せば動くのかを考える。私は、その作業に面白さを感じている。

目的・環境・情報の境界を整理し、実装後は人が結果を確認する。
目的・環境・情報の境界を整理し、実装後は人が結果を確認する。

Section 07 — 経歴の意味は、後から変わることもある

過去の仕事を、全部このために選んだわけではない。その時々で必要なことをやり、悩み、覚えてきただけだ。

でも、実現する手段が増えたことで、その経験の使い道が変わった。以前は相談や設計で止まっていた考えを、今は小さな道具にして試せる。試せるから、どこが間違っていたかも分かる。

今の自分を説明するなら、複雑な業務を分けて、判断でき、再利用でき、AIにも処理してもらえる形にする人。そういう表現が、以前よりしっくりくる。

AIを使い始めてから新しく得た知識も多い。それと同じくらい、昔から持っていた経験に別の出番ができたことが嬉しい。バラバラに見えていた職歴は、まだ使い方が決まっていなかった部品でもあったのだと思う。