UX case study / global gift experienceUX
Wish, Made in Japan.
観測記録OBSERVATION RECORD / 7B9754A6RECORDED : 2026-08-17DOMAIN : UX DESIGNSTATUS : ARCHIVED

日本の工芸品を、
「意味」から選ぶ。

海外の人が日本の工芸品を贈るとき、商品名やカテゴリから探し始めるとは限らない。先にあるのは、結婚を祝いたい、長い関係を願いたい、平和を伝えたいという気持ちである。その入口から工芸品へ進む体験を、企画、UX・UI設計、画像制作、開発、デプロイまで一人で2日間でつくった。

Wish, Made in Japan. の江戸の視覚文化を用いたファーストビュー
公開サイトのファーストビュー。江戸の版画的な世界観を、海外向けのギフト体験へ翻訳した。

「何を贈るか」ではなく、
「何を伝えたいか」から始める。

日本文化に詳しくない海外の贈り手にとって、鶴、七宝、青海波といったモチーフの意味は初見では読めない。そこで商品分類を入口にせず、場面、相手に送りたい願い、予算の三つから候補を絞るギフトファインダーを中核にした。

結婚祝いなら「A lasting bond」、新居祝いなら「A new beginning」のように、まず英語で伝えたい意味を選ぶ。日本的なモチーフは、選んだ気持ちの根拠として後から現れる。文化を装飾として置くのではなく、選択の理由へ変えるための情報設計である。

場面、願い、予算を選んで日本の工芸品を探すギフトファインダー
場面、願い、予算の3条件を一画面で選び、候補と配送条件まで確認できる。

海外向けに日本らしさを見せるのではない。
相手へ伝えたい気持ちを、日本の工芸が担える形にする。

商品を戻るのではなく、
「願い」を変えて選び直せる。

最初の候補がしっくり来ないとき、一般的なECでは商品一覧へ戻ることが多い。このサイトでは、結婚祝いと予算を保ったまま、「繁栄」「長寿」「新しい始まり」「平和」という願いだけを切り替えられるようにした。ユーザーが再考するべき軸は商品ではなく、相手へ何を届けたいかだからである。

AIに平均的な依頼をしない。
最初に、振り切った世界観を渡す。

AIに「海外向けの日本商品サイトを作って」とだけ頼むと、出力は無難な和風ECへ寄りやすい。今回は、北斎、写楽、狩野派を混ぜたような、尖った江戸の視覚文化というコンセプトを最初に渡した。黒、金、朱、藍の強い対比と、版画や屏風を思わせる構図を、サイト全体の判断基準にした。

コンセプトを先に振り切ると、AIは平均値へ逃げず、その条件に合わせるための案を出そうとする。AIに何を作らせるかだけでなく、どの世界観で解かせるかを人が決める。そこにオリジナリティの入口がある。

平均的な依頼
  • 「海外向けに日本商品を紹介する」
  • 一般的な和風・ECの見た目へ寄りやすい
  • 特徴がUIの表層に留まる
コンセプトを先に固定
  • 江戸の尖った視覚文化を翻訳する
  • 色、構図、コピー、導線の判断軸が揃う
  • AIが合わせにいく余白をつくれる

文化的意味と購入判断を、
混ぜずに隣へ置く。

意味の説明は、購入を煽るための物語ではない。モチーフの背景、適する場面、商品選定の考え方、価格・在庫・配送・返品を確認する場所を分け、ユーザーが判断できるようにした。購入は公式販売元へ遷移し、現時点の情報は販売元で確認する構成である。

AIは制作を速めたが、文化的意味や商品情報の根拠にはしない。公開前の確認と、一次情報に戻る編集判断は人が担う。この分業があることで、速度と信頼を両立できる。

企画から公開までを、
一つの体験としてつなぐ。

Day 01
コンセプトと体験の骨格を決める
対象ユーザー、贈る意味から入る導線、江戸の世界観、英語コピーの方向を一つの設計にまとめる。
Day 02
画像、UI、実装、公開まで進める
画面制作、条件分岐、コンテンツ配置、表示確認、デプロイを同じ判断軸のまま仕上げる。

AI時代の制作で人が握るべきなのは、
作業量ではない。
AIをどこへ連れていくかという、最初の世界観である。

References — 公開サイト

Wish, Made in Japan. — 記事内スクリーンショットと体験の参照元。