これまでは特定の専門スキルを深く持つことが価値になりやすい時代だった。もちろん今でも専門性は重要だ。ただ、AIが実装や生成の一部を大きく補助できるようになったことで、価値の出方が少し変わってきている。

今のAI時代に強いのは、単一の専門性だけを持つ人というより、複数の基礎スキルを横断して設計できる人ではないかと考えている。

AIは「作業」を代替しやすい

AIが得意なのは、ある程度ルールや手順がある作業だ。

領域AIが補助しやすい内容
文章下書き、要約、言い換え
コーディング実装補助、修正、叩き台作成
デザイン参考案生成、構成整理、要素分解
分析データ整理、論点抽出、示唆出し

こうした領域では、AIによって手を動かすコストが大きく下がっている。つまり、単純に作業をこなすだけでは差がつきにくくなっているとも言える。

では、何が価値になるのか

重要になるのは、何を作るべきかを決める力だ。たとえばサイトであれば、単にページを作ること自体ではなく、次のような設計が価値になる。

設計対象内容
誰に向けるかペルソナ、ターゲット
何を伝えるか訴求軸、価値提案
どう見せるかUI、レイアウト、導線
どう機能させるかUX、導線設計、CV設計

AIはこの中の一部を補助できるが、全体をつないで意思決定するのは、まだ人間の役割が大きい。

強いのは「足し算」ではなく「掛け算」

ここで重要になるのが、スキルの掛け算だ。

組み合わせ例意味
マーケティング × UX伝わるだけでなく刺さる設計ができる
UX × システム理解実装可能性を踏まえた設計ができる
マーケティング × システム理解集客から改善まで一気通貫で見られる
マーケティング × UX × AI設計から生成、改善まで高速化できる

単一スキルが深い人は強い。ただ、AIが間を埋められる時代になると、複数の基礎スキルを持っている人の方が、全体として大きく伸びやすくなる。

なぜ掛け算が強いのか

理由はシンプルで、AIが「不足分」を補いやすいからだ。たとえば、デザインを少しかじっていて、マーケティングも分かり、HTMLやCSSも多少読める人がいるとする。従来なら、どれも中途半端に見えたかもしれない。しかしAI時代は違う。

  • デザインの参考案はAIで補える
  • コーディングの叩き台はAIで作れる
  • 構成案や訴求案もAIで補助できる

このとき重要なのは、AIに何を作らせるかを決められることだ。断片的な知識をつなぎ、設計としてまとめられる人が強くなる。

専門職だけでは補いにくい部分もある

もちろん専門職の価値が下がるわけではない。むしろ、本当に深い専門性は今後も強いままだ。ただ、現場では分業によって全体がつながっていないことも多くある。

立場起こりがちなこと
デザイナーUIは強いが、ペルソナや訴求設計が弱いことがある
マーケター訴求や集客は強いが、UIや実装理解が弱いことがある
エンジニア実装は強いが、UXや訴求の観点が薄いことがある

そのため、横断して見られる人は少なく、そこに価値が生まれる。

AI時代は「作る人」より「設計する人」が強い

今後さらに重要になるのは、作業者として手を動かす力だけではなく、設計者として全体を組み立てる力だ。

特徴内容
分解できる問題や要素を細かく捉えられる
構造化できる全体像を整理し、再現可能にできる
言語化できる他人やAIに伝えられる
接続できるマーケ・UX・実装などを横串でつなげられる

AIが強くなるほど、この設計力の価値は上がっていくはずだ。


AI時代は、単に何か一つのスキルを持つことよりも、複数の基礎スキルを掛け合わせて設計できることが強みになる。

AIが作業を代替しやすくなったからこそ、何を作るべきか、どう構造化するか、どう再現可能にするかが重要になる。

これからの時代は、専門性の深さだけでなく、掛け算で価値を作れる人が伸びやすい時代だと考えている。実務や個人開発の中でも、この「掛け算としての設計力」は引き続き磨いていきたい。